(この記事は2013年3月8日時点の情報です)
櫻井穣司 先生(内科)
咳が続いて辛い。気管支喘息(ぜんそく)かもしれませんよ!
さくらい内科アレルギー科クリニック
【住所】広島市安佐南区緑井5丁目29-18 ゆめビル301
【TEL】 082-831-1181
気管支喘息について分かりやすく説明する櫻井院長。気さくな話しやすい先生。
喘息(ぜんそく)は、子供がかかる病気というイメージですが、実は成人になってから気管支喘息にかかる人が多いことを知っていますか? 特に季節の変わり目になると、やたら咳が出る、息苦しく感じるといった症状があれば注意信号。アレルギーだけでなく感染やストレスが原因で、気管支喘息を発症することもあるそうです。今回のレポートは、呼吸器内科、アレルギー疾患ご専門の「さくらい内科アレルギー科クリニック」院長、櫻井穣司先生に気管支喘息についてお話を伺いました。櫻井先生は明るいキャラクターの話しやすい先生です。
気管支喘息とはどんな病気ですか?
ひとことで言えば気道の炎症の病気です。気道の炎症により気管が細くなることで、呼吸が苦しくなったり、咳が止まらないといった発作が起きます。
喘息の人は普段から気道粘膜に炎症があり、咳がない状態でも空気の通り道である気道が細くなっています。また、常に炎症があることで気道が過敏になっているため、少しの刺激を受けただけで気道を取り巻く平滑筋という筋肉がキュッと収縮して、気道の内腔がさらに狭くなります。咳や息切れ、喘鳴などの発作が起きるのはそのためです。
どんな人が気管支喘息にかかりやすいのですか?
アレルギー反応によって気道が炎症を起こしてしまうため、アレルギー体質の人は気管支喘息にかかりやすいと言えますが、アレルギー以外でも、感染やストレスが原因で発作が起きることがあります。また、気温の変化や運動によって気管が刺激を受けて咳を誘発することもあり、早朝に咳き込んで目が覚めたり、運動をすると咳き込むことがあります。
他にもウインタースポーツのアスリート選手は冷たい空気を一気に吸い込むためか喘息の方が多いと言われています。
喘息は子供がかかる病気というイメージですが…
実は大人になってから喘息を発症する方が増えています。しかも、大人の喘息は治りにくいと言われています。
子供の頃に発症した喘息だと、思春期を迎える頃には改善されるケースが多いのですが、大人になってから発症した場合だと、完治するのは全体の2割といった報告もされています。
これって気管支喘息? どんな症状に注意が必要ですか?
やはり咳ですね。咳がひどい、「ヒューヒュー」、「ゼーゼー」といった喘鳴が出る、息苦しくて横になるよりは座っている方が楽に感じる。そういった症状があって来院される方が多いです。咳が短期間で治まる場合は風邪などの感染症のケースが多いですが、風邪や熱が出た後に咳だけ残る人も喘息の可能性があります。
喘息以外でも、百日咳やマイコプラズマなど、咳が出る疾患は他にもありますので、咳が続くようでしたら医師に相談しましょう。
診断はどのように行うのですか?
レントゲン検査に加えて肺機能検査を行うことで、より正確な診断を行っています。ただ、気管支喘息の治療には数値的な結果よりも、症状や発作の回数を把握することが重要なので、患者さんの訴えをしっかり聞く必要があります。
2012年9月に開業する際、患者さんがリラックスして健康の悩みや不安を相談できる医院にしたいという思いがあって、内装工事は医療専門の業者さんではなく、レストランやホテルを扱っている業者さんにお願いしました。緊張感を与えないよう間接照明にも工夫がされていて、待合室などはクリニックというよりもカフェのような感じでしょ? 患者さんが話しやすい雰囲気作りも、正確な診断を行うための大切な要素なのです。
居心地の良いカフェのようなリラックスできる空間。場所はJR可部線緑井駅からすぐ
気管支喘息の治療にはどのような薬が使われるのですか?
お薬は症状を抑える薬と、病気を抑える薬の2種類あります。昔は飲み薬が多かったのですが、今は吸う薬が主流となっています。
喘息の治療で最もよく使われるのが吸入ステロイドというお薬。ステロイドと聞くと「副作用が心配」と言う方もいらっしゃるかもしれませんね。確かにステロイドは長期間飲み続けると、血圧が上がったり糖尿病を誘発させる副作用が心配されますが、吸引であれば血液に移行せず肺だけに作用するため、副作用が回避できます。ステロイドには抗炎症作用があり、医師の指示を守って使えば、喘息の治療に優れた効果を発揮してくれます。
最近は薬がすごく良くなったので、咳の症状が治まるのも早くなりました。ただ、ここで注意していただきたいのが、咳が出なくなったからと言ってご自分の判断で薬の服用を中断しないことです。喘息の治療は、ゆっくり薬を減量していかなければ治らない病気。咳がなくなると病気が治ったような気持ちになりますが、忘れた頃に発作が再発します。お薬の正しい服用が効果的な喘息治療につながりますので、医師の説明をよく聞いて、治療プランをきちんと理解して病気を治しましょう。
呼吸器内科の専門医である櫻井先生から、読者にアドバイスをお願いします。
他の科の病気でも言えることですが、タバコは本当によくないですね。COPD(慢性閉塞性肺疾患)という病気があり、これはタバコの煙を吸うことで気管支に炎症が起き、咳や痰が出たり、気管支が細くなり空気の流れが低下してしまいます。日本人で40歳以上の約530万人にCOPDの疑いがあると言われています。喫煙習慣のある人はタバコをやめること、またタバコを吸わない人は喫煙している人に近づかないことです。当院では禁煙治療にも力を入れていますので、いつでも気軽に相談に来てください。
あと、埃も一定以上の濃度を吸ってしまうと、誰でもハウスダストに対してアレルギー体質になると言われています。ハウスダストやダニ対策のためにも、日頃の掃除を心がけましょう。
医師のプロフィール
櫻井穣司先生
● 広島大学医学部医学科卒業
● 広島大学大学院卒業(学位取得)
[職歴]
● 広島大学病院内科ローテーション就職
● 広島大学病院第二内科(呼吸器グループ)入局
● 広島大学病院(呼吸器内科病棟・ICU)、
● JA尾道総合病院、呉市医師会病院、福山セントラル病院などで勤務
● 労働者保健福祉機構中国労災病院呼吸器科(医長)
● 厚生連JA広島総合病院 循環器・呼吸器疾患センター呼吸器内科(主任部長)
‐趣味‐
・テニス
・ジム(筋トレ、ヨガなど)
・音楽鑑賞(J-POP(Mr.Childrenなど)、80年代洋楽、JAZZ等)
・美術鑑賞(美術館、博物館めぐり)
・映画鑑賞(邦画、洋画、アニメなんでも)
・サッカー鑑賞(サンフレッチェ、日本代表)
・読書(小説、詩集、漫画なんでも。)
・旅行(寺社や教会等、歴史ある建築物が好き)
・美味しいものを食べること(お酒は少し、甘いもの大好き)
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