(この記事は2012年12月7日時点の情報です)
温泉川(ゆのかわ)梅代 先生(産婦人科)
女性の子宮がん検診 「年に一度」が合言葉
ユノ川産婦人科クリニック ※クリニックは2016年12月に閉院されました
【住所】広島市中区新天地5-14 白純ビル3F(もみじ銀行新天地支店3F)
【TEL】 082-243-1515
温泉川先生のもとには親子2代にわたってかかる患者も多い。
健康診断やがん検診などで、自分の身体を定期的にチェックしていますか。婦人科検診は恥ずかしいからと、つい検診を先送り…という人が多いようです。そこで今回は、気になる婦人科系のがんについて、ユノ川産婦人科クリニックの温泉川梅代先生に聞きました。
婦人科検診は女性を守るためのもの。だから恥ずかしがらないで。
子宮がんには「子宮頸(けい)がん」と、閉経前後から多くなる「子宮体がん」があり、以前その発症率は、9対1と言われていました。今では5対5とも言われるほど「子宮体がん」が増えています。
食生活などライフスタイルの欧米化が日本での増加原因とも言われますが、検診を受けていない女性が多いのも、大きな問題なんです。
子宮頸がんの検診受診率は、欧米では60〜80%ですが、日本では何と20%前後。広島はさらに低く、平成20年のデータでは約15%と、全国平均を下回っています。検診の無料クーポンが配られるようになって、徐々に受診率は上がっていますが、まだまだ低いのが現状です。
もし子宮がんになったら、何か症状はありますか
子宮体がんは初期症状として不正出血がありますが、子宮頸がんは初期にはほとんど症状がありません。不正出血などの症状が出たときには、すでにがんが進行しているケースが多いんです。だから、予防と同時に、子宮がん検診で早期発見することが重要です。
子宮がんの次に多いのものに「卵巣がん」があります。卵巣は腫瘍ができやすい臓器と言われ、多くの種類の腫瘍ができますが、85%は良性、残り15%が悪性と言われます。卵巣はまた「サイレントな臓器」とも呼ばれ、なかなか症状が現れません。遺伝的要因もあり、家族に卵巣がんになった人がいる場合は、注意が必要。ちなみに、卵巣がんも経膣エコーで腫瘍の有無を調べることができます。
まれではありますが、ほかに「外陰がん」「卵管がん」「腹膜がん」「絨毛(じゅうもう)性疾患」などがあります。不正出血、下腹部痛、かゆみなど、いつもと違う症状があれば、検査を受けましょう。
子宮頸がんのワクチンについて伺いたいのですが。
子宮頸がんは、主に性交渉による「ヒトパピローマウイルス(以下HPV)」の感染で起こります。HPVは皮膚や粘膜に存在するごくありふれたウイルスで、約80%の女性が一生のうち一度は感染すると言われます。
9割以上は自然に消滅しますが、一部の女性で長期化し、がんが発症するとされています。発症は発がん性HPVに感染してから発症まで数年から十数年かかります。発がん性HPVに感染する前の10代前半に子宮頸がん予防ワクチンを接種することで、子宮頸がんの発症をより効果的に予防できます。
接種費用は医療機関によって異なりますが、1回あたり1万5000円から。3回で約5万円必要です。ワクチンは15種類あるハイリスク型HPVの中でも特に発症要因となりやすい16型と18型の感染を予防するもので、すべての発がん性HPVを防ぐことはできません。ワクチンを接種したからといって100%安心できるものではないので、接種後も定期的に検診を受けることが大切です。45歳くらいまでは接種可能ですが、それ以降は検診のほうが有効だと思います。
ユノ川産婦人科クリニックでは子宮がん検診のための医療設備が充実している。
最後に、「広島ドクターズ」読者へのアドバイスをお願いします。
ワクチン接種は、将来の発症を予防するための投資と言えます。また、検診で前がん状態や初期のがんが発見できれば、子宮を温存できて、妊娠・出産も可能な場合もあります。入院の必要がない外来でのレーザー治療や、がん病巣のある子宮の入り口だけを切除する方法など、治療法はいろいろあります。怖がらず、恥ずかしがらず、ぜひ検診を受けてください。
記事提供:広島リビング新聞社
医師のプロフィール
温泉川(ゆのかわ)梅代 先生
●広島大学医学部卒業
●広島大学産婦人科
●福島病院勤務
●厚生連吉田病院勤務
●中電病院勤務
●1981年広島市内にユノ川クリニックを開院
※2016年12月ユノ川クリニックを閉院、2017年1月にユノ川レディース相談室を開設
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