(この記事は2013年2月4日時点の情報です)
吉田知己 先生(内科)
高血圧から血管を守り、動脈硬化が引き起こす心筋梗塞・狭心症を予防する!
よしだハートクリニック
【住所】広島市中区大手町3丁目13−8 本逕寺ビル2F
【TEL】 082-246-4188

地域のかかりつけ医として、患者の健康を親身になってサポートしてくれる吉田院長
健康診断で高血圧と診断されたけど、とくに不調は感じられない。
でも、体の中は?!
高血圧になると血管が硬くなり、血液の流れが少しずつ悪くなって、気付かないうちに動脈硬化が進行していきます。そして、動脈硬化が進めば、心臓や脳、腎臓などさまざまな臓器に障害が出て、心筋梗塞や狭心症、脳卒中といった恐ろしい病気を発症させることも。
循環器内科を中心に地域の患者の健康をサポートしている、よしだハートクリニックの吉田知己院長に、高血圧から大切な血管を守るためのアドバイスをうかがいました。
高血圧と診断されるのはどんな場合ですか?
一般的に「上の血圧」「下の血圧」と呼ばれていますが、正確には「収縮期血圧」「拡張期血圧」といいます。収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上(あるいは両方)のとき高血圧と診断します。
血圧は測る時間帯によっても変わります。1日のうちでも起床時は高く、昼、夕方にかけて下がっていき、就寝前は低くなる傾向にありますので、夜ばかり測っていて自分の血圧は正常だと思っていた方が、朝測定してみたら実は高かったということもあります。また、診察室で測ると緊張して、血圧が高くなってしまう方もいらっしゃいます。一回の測定では適正血圧かどうかを正確に判断することは困難なため、何回か測定した平均値を参考にします。
高血圧だと何か自覚症状はあるのでしょうか?
一般的に自覚症状はありません。さすがに収縮期血圧が160mmHgを超える高い数値が続いていると、頭重感、肩こり、動悸などの症状を訴えられる方もおられますが、特徴的な初期症状がないために、気付かないうちに高血圧が進行してしまうケースが多いですね。高血圧を放置したからといって、すぐにどうなるといったことはないのですが、そこが高血圧の恐ろしいところなのです。高血圧は、別名「サイレントキラー」とも呼ばれています。高血圧が続くと、少しずつ動脈硬化が進行し血液の流れが悪くなり、様々な臓器の機能を低下させ、将来的に心臓病や脳卒中など生命に関わる合併症を引き起こすことがあります。まさに《静かな殺人者》です。自覚症状がないからと油断しがちですが、血圧が高い場合は早めに医師に相談しましょう。
高血圧を引き起こす原因は何ですか?
高血圧のうち、腎臓病やホルモンの異常など原因がはっきりしているのは1割といわれています。残りの9割は本態性高血圧といって、原因を特定するのが難しいです。遺伝的素因、塩分摂取過剰、肥満、過労、運動不足、喫煙、ストレスなど、様々な環境因子が複合して高血圧になっていると考えられています。
高血圧の治療にはどのようなものがありますか?
血圧は、心臓から拍出される血液量と全身血管の抵抗によって決まります。分かりやすく言うと、大量の血液が血管を流れることと、血管が収縮したり硬くなったりして血液の流れがスムーズでなくなること、この2つで血圧は上がります。 したがって血圧を下げるには、心臓から拍出される血液量を抑えるか血管を拡張させて血液の流れをよくすることが必要です。
治療として、食事・運動・薬物療法があります。その中で最初に取り組むべきは、食事・運動療法であり、生活習慣の改善が重要となります。
生活習慣の改善にはどのようなアドバイスをされるのですか?
血圧には塩分が大きく関係します。塩分過剰になると血液量が増えることが主な原因です。平均的な日本人の一日の摂取量は11〜12gと言われていますが、高血圧になってしまったら目標は6g。健康な方でも高血圧を予防するために、10g以下が望ましいですね。患者さんには塩分を抑えた食事と同時に、ナトリウムの排出を促すカリウムを多く含んだ野菜をしっかり食べるようにアドバイスしていきます。また、太った方も高血圧になりやすいですので、カロリーを控えた食事も指導していきます。
あとはアルコールですね。アルコールを摂取するとその時は血圧が下がるのですが、日常的に適量を超えて摂取することは体に負担となり、血圧が上がる方向になりますので、高血圧の方はお酒の量を適量以下にするよう心掛けましょう。
適度な運動は、血管を拡げ血圧を下げる効果が期待されます。「20分継続する運動を週に3回は続けましょう」とアドバイスしていますが、時間がなかなか取れない人は、生活の中で体を動かす習慣を付けて頂くようにお願いしています。できるだけ階段を使う、通勤時に1つ前の駅で降りて歩いてみる、主婦の方でしたらできるだけ体を使って家事を頑張る。できる範囲でいいので、体を動かすことを心掛けてほしいと思います。
お薬は、高血圧の重症度、その方の全身状態に合わせて処方します。近頃では、副作用が少なく、一日一回服用すれば安定した降圧が持続する優れたお薬が開発されており、適正血圧にコントロールするのも比較的容易になっています。
高血圧の合併症についてお聞かせください。
高血圧の合併症としては、脳卒中・心臓病・腎不全・閉塞性動脈硬化症など多くの病気が知られています。その中で、私の専門である心臓病についてお話したいと思います。心臓病のなかで特に高血圧と関係するのは、心臓肥大による心不全と虚血性心臓病です。
心臓は筋肉の塊で、休みなく収縮と拡張を繰り返して全身に血液を送り出していますが、心臓肥大が起こるとポンプ機能が低下して、全身に十分な血液を送り出せなくなります。これが心不全であり、適切な治療をしないと命取りになります。
虚血性心臓病は、動脈硬化が原因で、心臓を養っている血管(冠動脈といいます)が細くなったり詰まったりして心臓自身の血の巡りが悪くなり、心臓の機能が低下する病気です。代表的な疾患として、心筋梗塞、狭心症がありますが、この2つの病気の違いはお分かりですか?
心筋梗塞は、冠動脈が詰まってしまい、心臓の筋肉細胞が死んでしまう状態をいいます。今まで胸痛発作がなかった人がいきなり心筋梗塞になることもあり、突然死することもある恐ろしい病気です。急激に温度が下がると、血圧が一気に上がって冠動脈が詰まり、心筋梗塞を引き起こすこともあるので、特に冬は、お風呂や夜中のトイレなど、気を付けて頂きたいですね。
一方、狭心症は冠動脈が細くなり、血の循環が悪くなったことで心臓の機能が衰えている状態です。数分間胸が締め付けられる、圧迫されるといった自覚症状があり、進行するにつれて発作の回数が増えていきます。
狭心症は心臓の筋肉が死んでしまうわけではないので、血流が回復すると症状はなくなります。重症度で言えば狭心症の方が軽いのですが、症状が改善しない場合は、冠動脈が閉塞して心筋梗塞を発症している可能性もあるので注意が必要です。

的確な診断のもと適切な治療をモットーに、分かりやすい説明で患者を安心させてくれる。
病気にならないためにはどうすればよいのでしょうか。
虚血性心臓病、脳卒中など恐ろしい病気の原因となる動脈硬化をいかにして防ぐかが重要です。動脈硬化を進行させるのは、高血圧のほかに、糖尿病、高コレステロール、喫煙、肥満などがあります。これらの危険因子を寄せ付けない生活を心がけましょう。
また、早期発見・早期治療で病気の重症化を防ぐことができます。高血圧は、40〜50歳くらいから増える傾向にあるので、健康診断などで血圧が高いと注意されたら、早めに医師に相談してください。
循環器内科は、血液の通り道である血管と、血液を送り出すポンプの役割を果たす心臓の病気を扱う診療科です。「人は血管とともに老いる」と言われますが、血管が悪くなると全身にいろんな障害を及ぼします。新鮮な血液をいつまでも送り続けられるように、心臓と血管を守っていきましょう。
最後に「広島ドクターズ」読者にアドバイスをお願いします。
脈を測るのを習慣にしている人は少ないと思いますが、時にはご自分の手をとって脈を触れてみてください。正常であれば、1分間に60〜80回規則正しく触れると思います。脈が触れにくいあるいは規則正しくないなどに気付いた時は、一度専門医に診てもらうことをおすすめします。
医師のプロフィール
吉田知己先生
●広島大学医学部 卒業
●広島市立安佐市民病院、九州大学医学部付属病院、広島赤十字・原爆病院などで勤務
・ 医学博士
・ 総合内科専門医
・ 循環器専門医
・ 麻酔科標榜医
・ 身体障害者診断書・意見作成指定医(心臓機能障害)
所属学会
● 日本内科学会
● 日本循環器学会
● 日本糖尿病学会

よしだハートクリニックの詳細
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