(この記事は2013年2月20日時点の情報です)
増田宏 先生(小児科)
子どものやけど、すり傷は、「消毒しない、乾かさない、ガーゼをあてない」
ますだ小児科
【住所】広島県広島市東区東蟹屋町10-21
(平成26年1月に広島県安芸郡府中町大須3-8-56から移転しました)
【TEL】 082-568-2828
子どもの目線に合わせた姿勢を常に忘れない、子どもたちに人気の増田先生
子どものすり傷、切り傷、やけどの手当て、皆さんどうしていますか?
今、「消毒をしない、乾かさない、ガーゼをあてない」治療が、皮膚に優しく、痛くなく、痕を残さないと注目されています。
今回、お話を伺ったのは「ますだ小児科」の院長、増田宏先生。フランクに話してくださる、子ども心を大切にした先生です。
「こんな症状の時も小児科を受診していいの?」といったお母さんの疑問にも答えていただき、子どもの心理カウンセリングにも取り組む、町のかかりつけ小児科医としての思いも伺いました。
傷に優しい「ウェット療法」が注目されているそうですが?
子どもにケガはつきものですが、傷痕ややけどの痕はできれば残したくないですよね。お子さんがすり傷ややけどをしてしまった時、みなさんはどのような処置をしていますか? まず消毒をして、ガーゼや救急用ばんそうこうを貼るご家庭が多いのではないでしょうか。
実は今、「消毒をしない、乾かさない、ガーゼをあてない」で、痛みが少なくきれいに治す《ウェット療法》が注目されています。
ケガややけどをした時の傷口のジクジク、これって悪いものだと思いますか? このジクジクは、体液が傷を治そうとしているのです。この中には、出血を止める血小板やばい菌を退治する白血球、繊維芽細胞といって皮膚を再生するための物質がたくさん含まれています。体が自分で治そうとしているのに、それをガーゼで吸い取ってしまうのはもったいないことなんですよ。
また、消毒するとヒリヒリして痛いでしょう? あれは殺菌するのと同時に皮膚の細胞を壊してしまっているためです。消毒液がばい菌だけでなく皮膚にもダメージを与えてしまっているんですね。
子どもがケガ! どうのような処置をすればいいの?
軽いすり傷や切り傷などのケガをした時は、まずは土や砂などの汚れを水道水できれいに洗い流しましょう。水分を拭き取った後は、消毒をせずに傷口を被覆保護剤で覆ってください。被覆保護剤は、救急ばんそうこうと似ていますが、それよりお値段が高め(10枚で800円ほどではないでしょうか)で、薬局やドラッグストアーで手に入れることができます。
しばらくは傷口がジクジクしますが、体が頑張ってばい菌をやっつけているので、乾燥させずに体液を逃がさないようにしてください。そうすると、早くきれいに治りますよ。
やけどをした場合は?
お好み焼の鉄板で手のひらをジュっとやってしまった子、コンビニのおでん鍋で、炊飯器の蒸気で、花火で、アイロンで…。当院にもやけどで受診されるお子さんはたくさんいます。
やけどをしてしまったら、まずは水で冷やしてください。氷はしもやけになってしまうためよくありません。流水に5分以上さらします。水ぶくれができたら、しばらくはそのまま様子を見てください。水ぶくれが破けたら乾燥しないように被覆保護剤で覆います。被覆保護剤がなかったり小さかったら、ラップを巻くのもいいでしょう。ただし、やけどが広範囲な場合は、すぐに小児科を受診してください。
傷ややけどは「消毒をしない」「乾かさない」「ガーゼをあてない」。皮膚に優しく、傷痕が残らない治療をしましょう。
ところで、ケガややけどの場合も小児科を受診していいのですか?
子どもがケガをした時は、外科?それとも皮膚科? 鼻水が出る時は、耳鼻科に行く方がいいの?
症状によっては専門の科を受診すべきか、迷ってしまうお母さんが多いようですが、子どもの病気やケガは小児科で診てもらいしょう。専門医を受診する場合も、まずはかかりつけの小児科の先生に診てもらって、症状に応じた病院を紹介してもらうのがいいと思います。
子どもって、すぐに熱を出すでしょ? 熱が出やすいのは体が弱いからではなく、体が病気と戦っているから。子どもは自分で病気やケガを治す力が強いのです。子どもの治療には、自然治癒力を上手にサポートすることが大切です。
小児科医は、そういった子どもの体のことを熟知しており、子どもの病気の知識や情報も豊富です。子どもだけにみられる病気もありますし、治療法も大人とは異なりますから、ケガ、目、耳、皮膚どんな症状でもまずは小児科へ。子どもの体の専門家に診てもらうのが1番です。
また、かかりつけの先生であれば、その子の体質や性格もよく分かっていますので、専門的な治療が必要な場合でも、その子にあった病院を紹介することができます。大きな病気やケガをして、初めての病院に連れて行かれたら、子どもだって不安ですからね。そういった意味でも、特に小児科はかかりつけを持つことが大切です。その子の大切な成長の記録がカルテに残っていきますから、できれば同じ小児科に通い続けるのがいいと思います。
こころの不調も小児科に相談していいのですか?
突然、自分の子が学校に行かなくなったらどうします? どこで診てもらいますか? いきなり精神科に行くのは、子どももお母さんも躊躇しますよね。
不登校のお子さんはたくさんいますが、受け皿が少ないのが実状です。ですが最近は、心理相談やカウンセリングを行う小児科が増えてきました。当院でも、院内にセラピールームを設置して、不登校やいじめ、家族関係など、心の悩みを持つ子どもへのアドバイスやカウンセリングを行っていますので、ぜひ頼ってください。
よちよち歩きだった子が、幼稚園、小学生と成長していくのをずっと診てきたのですから、その子のことをよく知っているし、子どもも僕のことをよく知っています。カルテをみれば病歴も分かるし、「心配性のお母さんだったなぁ」とか、その子の家庭環境もある程度分かっています。かかりつけ小児科は子どもに身近な「お医者さん」。だからこそ、心理カウンセラーと協力して、その子の訴えを聞き、その子を認めて、しんどくないようにしてあげたい。体だけでなく心の健康も見守っていきたいと思うのです。
東区役所に面した通りにあり、通院に便利な立地。平成26年1月に安芸郡府中町大須からこの場所へ移転
最後に、小児科医としての思いをお聞かせください。
ここで開業して、2013年3月で13年目に入りますが、子どもの成長を見届ける楽しみが、町医者のメリットだと感じています。大きくなって小児科を卒業してしまうと淋しい気持ちもするのですが、子どもの時にここで診察していた子が、今度はお母さんになって自分の子どもを連れてくることもあり面白いですね。
子どもは心も体もきれいです。それに未来があるから、助けなきゃいけないと思います。小児科には、予防接種や健康診断をはじめ、子どもの健康や成長に関するいろんな情報がありますので、お子さんに何か心配事がある時は、いつでも気軽に小児科へ相談してください。
医師のプロフィール
増田宏先生
●広島大学医学部卒業
●広島市安佐市民病院医師
●東京女子医科大学日本心臓血圧研究所医員
●米国オハイオ州立シンシナチ大学留学
●広島大学医学部小児科助手
●世羅中央病院小児科部長
●あかね会土谷総合病院小児科医長
‐資格‐
・医学博士
・小児科専門医
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