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手術が幸せだった外科医が総合診療・緩和ケア・地域医療を通して目指すようになったのは、手当てとチームワークを大切にし、本当に困っている人を救う医療。|石川内科外科クリニック|石川 哲大 先生 | 病気や症状。治療や予防に役立つ 病院・医院・クリニック情報サイト『広島ドクターズ』
(この記事は2015年8月5日時点の情報です)

石川 哲大 先生(内科・外科)

手当てとチームワークを大切にする人対人の医療を目指して

 
石川内科外科クリニック
【住所】広島県広島市佐伯区海老園2-10-21 
【TEL】 082-923-1100
 
地域医療の本質とは。緩和ケアや自律神経失調に必要なこと。|石川内科外科クリニック|石川 哲大 先生
日本緩和医療学会の緩和ケア指導者研修修了という最も進んだ資格を持ち、今年の第29回日本医学会総会のシンポジウムでは、尾道における在宅緩和ケアについて発表された石川院長。
 
総合病院外科のトップとして長年勤め、地域医療で全国的に有名な尾道での緩和ケア経験を通し、医療の進歩や環境の変化に伴い出てきた問題を見つめる石川哲大先生。
2014年に開業された佐伯区海老園「石川内科外科クリニック」で、本当に大切な医療とはなにか、地域医療の本質とはなにかを考えた診療を実践されています。
日本緩和医療学会の緩和ケア指導者研修修了という最も進んだ資格を持ち、今年の第29回日本医学会総会のシンポジウムでは、尾道における在宅緩和ケアについて発表されました。
そんな石川先生が考える地域医療とは?また、データ上は異常がないのに体調が悪い、めまいや頭痛がする…といった自律神経失調への対応についてもお伺いしました。

今までの経験から、先生が目指される医療とはどのようなものですか?

元々は外科医で、消化器外科と腎臓移植をしていたのですが、手術の時には患者さんに説明をしないといけないし、承諾がいるんですね。患者さんやご家族に分かるように話をする事や信頼関係を築くのが大事なんです。手術後も長く付き合いが続きますから、手術さえしていればいいという事ではなく、人間同士の付き合い方が非常に大事です。
そんな時、尾道総合病院で総合診療科と緩和ケアと地域医療をやる事になりました。手術室から突然そういう仕事に移ったら何もできないのが普通ですけど、患者さんやご家族とうまくコミュニケーションをとってきたのが役に立って、人付き合いを中心にする仕事に馴染めたんです。
昔は治療をし尽くして、もう何もやる事がなくなったら緩和ケアに行きなさいという流れでしたが、今はガンの宣告を受けた時から緩和ケアに対応をお願いするというやり方が増えています。
治療と並行して緩和ケアが介入する際には、緩和ケアが主治医の先生より前に出ないようチームワークも必要になりますから、外科の事も分かり緩和ケアの事も分かりという立場がとれれば一番いいですよね。
そして総合病院と医師会の先生たちとの橋渡しをどうできるかといった事も大事になってきます。幸いな事に医師会の先生たちとも早くから仲良くなれて、普通では考えられないスピードで資格も取る事ができました。
開業して今は医師会のドクターという立場ですが、大きい病院の先生たちと仕事を一緒にやるシステム、流れ、考え方がはじめからできている形なので、早くから信頼をおいてもらえるというのはあります。そういうコミュニケーションをうまくとる事が今生かしたい、進めていきたい医療です。

「優しい医療」「話を聴く医療」をモットーに掲げていらっしゃいますね

今のドクターはたくさん患者さんを診るので、患者さんに顔を向けないでコンピュータ画面に向かって話をすることが多いと聞いています。良いか悪いかという話をして「はい予約」「次の患者さん」という流れで、患者さんの方はあまり来た甲斐がなかったと思っているのではないでしょうか。
精密な画像診断があるので聴診器をあてたりお腹を触ってみたりということが少なくなっています。でも私は患者さんに手当てをするという事が大事だと思っているので、丁寧に診察をして患者さんに「今日来た甲斐がある」と思ってもらえるよう、話をよく聴くようにしています。一人の患者さんにすごく時間がかかりますが、それを実践したいというのがモットーなので、処置室の看護師さんたちも流れ作業で終わるのではなく、笑顔がいい人、会話ができる人、優しい態度がとれる人を選んでスタッフになってもらっています。患者さんは「スタッフさんが明るいですね」と言ってくれますが、そういう雰囲気が大事だと思いますね。ここへ来たらホッとする、ここへ来たらなんでも聞いてくれる、ここへ来たら何を言ってもいい空間だと思ってもらえれば、同じ病気でも治った感じが早いんじゃないかと思うんです。
話を聴くといってもただ世間話をするのではなく、適切にアドバイスしてあげる事が大事ですが、そこは長年勤務医をして外科のトップでやってきた事が役に立ちます。
また、サッカーをやっていたおかげでチームワークはよく理解しているつもりです。患者さんともチーム。スタッフともチーム。何でもチームで考えて、一人では動かないようにする。ガーゼ交換するにもスタッフに「こういう状態だからこうしているんだ」という事が分かるようにして手伝ってもらうし、患者さんにも「今こういう状態だから次はこうしましょう」という事が分かるように説明します。
「ここがこうなっている、ここは大事、ここは大丈夫」と言ってあげるのが大事なので、1枚のデータシートを説明するのにも時間がかかります。でもそうする方が絶対いいと思っているので、毎回やろうとしています。
「優しい医療」「話を聴く医療」の実践は時代と逆行しますが、手間がかかろうと効率が悪かろうと患者さんを大事にするという事が本筋の医療に進んでいきたいんです。それが患者さんにもスタッフにも分かってもらえると思って、やっているところです。

緩和ケアというのはどのような事をするのですか?

病気そのものに対する積極的な治療はしないで、患者さんの苦痛を和らげる事を中心にした医療をします。麻薬を使う疼痛管理=緩和ケアという考え方がありますが、それは部分的な手段です。痛みが一番困るので医療用麻薬を使わなければいけませんが、年配の患者さんたちは麻薬と聞いただけで怖がりますから、うまく説明してあげないとなかなか使ってくれません。
緩和ケアを学んだ尾道は山もあり海もあり日本の縮図みたいな地形です。そこで高齢者が多いという事になれば20年後の日本にぴったりだという事で、高齢者医療、地域医療、在宅医療を先進的にやっている尾道がどんな医療をするか、全国が注目して手本にしようとしているわけですね。
でも総合病院の中のいろんな先生がみんな緩和ケアの気持ちを持てば緩和ケアという部門は要らなくなるんです。患者さんに対するやさしい気持ちを持っていれば、緩和ケアはどの病棟でもどのスタッフでもできる事です。緩和ケアという看板を出していなくても、緩和ケアの気持ちでやっていきますよという事が在宅医療にもつながるんです。
ガンと宣告されても手立てがなく苦しい症状がたくさんある人を在宅で診ようとすると、ご家族はものすごい負担になります。それをどう軽減させてあげるかを分かっていないと在宅医療は廃れる一方です。たとえば自分の両親や近い人がガンで苦しんでいる時、家に連れて帰る気持ちになれるかどうか。今はそういう人でも家に帰そうという時代で、家の方がいいからという理由だったらいいと思いますが、病院に長々といる患者さんがベッドを占有してしまうと回転ができないという理由で帰そうとするのは患者さん目線ではないです。
また、医者も看護師さんも医療スタッフも、生かそう、治そうとする医療は頑張って勉強しますが、一番大事な「死」を習っていない。でも必ず死というものが訪れるのだから「死生学」を勉強した方がいいと思うんです。日本ではまだまだ幅の狭い部門ですが、全国的に広がって理解されるようになればいいと思います。
昔は畳の上で死にたいというのがみんなの合言葉でしたが、今や病院で死ぬ方がいいという風になっています。でも病院で死ぬという事は長い目で見ると、病気になったらどれだけ大変かという事を子や孫が分からない生活になるわけです。昔は死というものを目の前で見ていましたが、今や病院で亡くなると子どもたちに「亡くなったそうだ」という連絡が来て、お葬式があるという事は理解しているけれど、亡くなるという事がどれくらい大変な事で、病気の最後っていうのはこれぐらいみんなの力が要るんだという事を習わないんです。「もう遠くに住んでいるから関係ない」と言ったり、墓参りに行く事もない、家族を大事にしない考え方になって、「治してくれるから病院に送っとけ」「亡くなるところまで一緒に診てもらえ」となっているのは、すごくさみしい事だと思います。

地域医療の本質とは。緩和ケアや自律神経失調に必要なこと。|石川内科外科クリニック|石川 哲大 先生
患者さんのデータをオンラインでリアルタイムにやりとりできるHMネットや、在宅医療に必要なコ・メディカル部門をトータルにサポートする地域包括支援センター等、病院間や地域で連携をとっている
 

先生のところには自律神経失調の患者さんも来られるそうですね

どこに行っても診てもらえない人がここに来るんです。自律神経失調という病名で片付けられている人は、症状はきついのに治療法がないという事で「あなたの気持ちの問題ですよ」と言われて、果ては心療内科に行くか精神科に行くこともある。データや画像に出てくる範囲の話ではないので、何も治すところはないという事になってしまうのですが、それで症状がとれないまま何年も苦しんでいる人がいるわけですよ。そういう人を誰が診るのか、どういう部門が診るのかというのが今、大きな問題です。私はマッサージをするとかお腹をみるとか胸をみるとかいう「手当て」というものが大事だと考えていて、ここから生まれる解決のための1つのヒントが「ストレス性の神経疲労」だと思っています。
その考え方で患者さんを診てあげると、重い症状が出たきっかけみたいなものが何かあるんですよ。何かストレスがあって症状が出ているので、それを和らげてあげるようにする。そのためには話を聴く時間を充分にとってあげないと簡単に治せるようなものではないんです。傾聴ですね。時間はかかりますが、それをしない限りこういう人は治る道が見つかりません。治療だけしようと思っても薬が増える一方で改善はしないんです。
習ったわけではないのですが、自分で開発した大後頭三叉神経症候群に対処するマッサージで元気になる人がおられます。こんな事を言うと、まやかしの変な先生と言われそうですが、どこが悪いのか、自分にも納得できるような説明が欲しいし、どんな手当てができるかという事ですよね。おかしなことに食欲がないと言っている人も肩の緊張が取れたら胃薬を使わなくても食べられるようになるんです。そういう治療というのは医学的ではないんですけれど…。
緩和ケアにもつながる話ですが、ガンによる痛みを和らげるには麻薬を使うだけではうまくいきません。それも必要ですが、気持ちを支えてあげる事ができないままでは、どんどん薬を増やすしかないんです。「痛いんだったらこの薬」としか言ってもらえなければ、痛みは取れても全然安らかな気持ちになれない。そこが全体的な医療で欠けているんです。モヤモヤしたような、はっきりデータで出ない部分の扱い方が今、うまくいっていない。誰かがそこへ敢えて踏み込むことをしないと救われない患者さんがいっぱいいらっしゃいますからね。そういう人たちによかったと思ってもらえれば、このクリニックをスタートした甲斐があると思っています。

垣根を越えて一人一人に寄り添うわけですね?

薬も検査もない時代の医者というのはすごいなぁと思いますよ。おそらく昔の先生たちは話を聴く事が上手だったんじゃないかと思いますね。「大丈夫ですよ」と言ってあげる事で大方治してしまう力があったんじゃないかと思います。現代の医療は何もかもが進みすぎて専門的になっていますよね。たとえば総合病院で血圧専門の先生が糖尿の患者さんを診たりはしません。昔の内科というのは5人もいれば全部の部門を診られる状態になっていたのに、今は専門的になりすぎて1つの部門に3〜4人ずつ以上必要です。そうすると大きい病院の内科は20人以上の大所帯になって、全体の医者の数は増えているのに地域の医者が足りないという変な事になるんです。これではいつまで経っても医者不足は解消しません。
難しいとは思いますが、地域で医療を頑張りたいというのであれば、専門以外の患者さんを診られる度量を持つ必要がある。いつも診ている患者さんが「今日はお腹が痛いんです」と言ったら「お腹の事は分からないからよそへ行ってください」とは言えないじゃないですか。それはとてもさみしい事だし、どうしても自分で無理だったら大きい病院を紹介するとか、連携が発揮できればいいんです。
私は総合診療という形が本来の姿だろうと思います。ここでできる事はしてくれるし、無理だったらちゃんと紹介してくれる、やりとりも気軽にできれば、患者さんは本当に安心してくれる。だから総合医療という形での開業医がもっと増えればいいなと思うし、どんなことでも相談してくださいというスタンスで、信頼されるクリニックを作っていきたいです。

医師のプロフィール

石川 哲大 先生

●広島大学病院 第二外科入局
●広島鉄道病院 外科
●東京大学医学部輸血部 研究生
●国立大竹病院 外科 医長
●県立広島病院 一般外科 医長
●松山赤十字病院 第4外科 部長
●県立広島病院 透析移植外科 主任部長
●尾道総合病院
・診療部長
・救急総合診療部/主任部長
・救急センター/センター長
・緩和ケア内科/主任部長
・緩和ケアチーム/代表
●尾道市医師会・理事(医療連携・緩和ケア・特区・災害医療 担当)

‐資格・所属学会‐
・医学博士
・日本外科学会 専門医/指導医
・日本透析医学会 専門医/指導医
・日本消化器外科学会 認定医
・日本臨床腎移植学会 腎移植認定医
・日本緩和医療学会 緩和ケア医師研修 修了、 指導者研修会 修了
・緩和ケアチーム研修会(国立がん研究センター) 修了
・臨床研修指導医養成講習会(厚生労働省) 修了
・広島大学医学部 臨床教授

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