(この記事は2012年12月12日時点の情報です)
山村 聡 先生(整形外科)
年齢や性別に関係なく、誰でもかかり得る「腰椎ヘルニア」って?
医療法人 崇光会 山村整形外科
【住所】広島市佐伯区八幡東4丁目21-8
【TEL】 082-926-0212

脊椎疾患のスペシャリストである山村先生。ボクシングのリングドクターも務め、スポーツ障害にも力を入れている。
「最近、腰の調子が…」と気になっている方はいませんか?「疲れがたまっているから」「単なる筋肉痛だろう」と、ついつい受診を先延ばしにしてしまいがちですが、もしかしたら腰椎ヘルニアの初期症状ということも。年齢や性別に関係なく、誰でもかかり得る腰椎ヘルニアという病気について、山村整形外科の山村聡院長に話を伺いました。
腰椎ヘルニアとはどんな病気ですか?
脊柱のクッションの役割を果している椎間板が、本来あるべき位置から飛び出してその周りの神経を圧迫することで、さまざまな神経症状を引き起こす病気です。腰に発生した椎間板ヘルニアを腰椎ヘルニアと呼びます。
椎間板は軟骨でできているゴムのようなもので、身体活動の衝撃を吸収する役割を果たすのですが、椎間板が飛び出してしまう原因としては、もろくなって弾力性がなくなったり、何らかの強い圧力による変形が考えられます。
例えば、もなかを強く握るとあんこが出てしまうでしょ? また、少しの力でも周りの皮がもろくなっていたら、中のあんこは飛び出てしまいます。あんこが皮を破って飛び出してしまった状態をイメージすると分かりやすいと思います。
どんな人がこの病気にかかりやすいのですか?
40歳以上の方だと、年齢による老化で椎間板の弾力性がなくなり、長期に渡ってじわじわと椎間板が変形していくケースが多いのですが、若い方だと交通事故や高いところから落ちるなど、一回の強い衝撃で椎間板を痛めてしまうことがあります。腰椎ヘルニアは、性別や年齢に関係なく、どなたでもかかり得る病気と言えますね。
重たいものを持つと椎間板に重圧がかかってしまい、腰椎ヘルニアを引き起こしてしまうことが多いのですが、長時間同じ姿勢で座って仕事をされる方も要注意です。座っている姿勢というのは意外と椎間板に圧力がかかっていて、実は立っている時よりも椎間板内圧は高くなるんです。
また、中腰の姿勢も椎間板に圧力をかけてしまいます。特に女性の方は、家事や育児で中腰の姿勢を取ることが多いので、気を付けて頂きたいですね。
腰椎ヘルニアになるとどのような自覚症状があるのでしょう?
自覚症状としては、腰が痛い、お尻から足にかけてしびれを感じるなど。片方の足だけスリッパがよく脱げるとか、片方の足だけ小さな段差によくつまずくのも、足の麻痺のサインだったりします。また、尿失禁をしてそれに気づかないというのも、腰椎ヘルニアによる神経症状の可能性が考えられます。
初期段階で病気が発見できるように、腰や足に痛みやしびれを感じたら、まずは専門医に相談することをお勧めします。

充実したリハビリ室や岩盤浴の設備を完備し、患者に最適な治療を提案する。
診断はどのように行うのですか?
まず一番は、患者さんの話を聞くことです。どんな時に、いつから症状が出て、どんな感じで症状が続いているか? また何をする時が一番つらいかなど、患者さんの話をよく聞くことで、診断の9割はつきます。それを確かめるために、触診や画像診断を行い、椎間板や神経の状態を確認します。
治療にはどれぐらいの期間がかかりますか?
症状が深刻な場合は手術が必要となることもありますが、治療はほとんどが保存療法です。腰椎牽引治療などの物理療法、ストレッチなどの運動療法、薬療法、コルセット使用といったものになります。
進行具合によって異なりますが、3週間から1ヵ月ほどの治療で症状は消えます。ただ、椎間板自体が元のかたちに戻るわけではないですし、そこの椎間板の痛みはなくなっても、違う部分の椎間板が痛くなる可能性もありますので、症状が消えた後もやはり注意は必要です。
自己判断は禁物?!
どの病気でも同じことが言えますが、専門医による正しい診断は病気を治す近道。また、症状の裏には、がんなどの重篤な病気が潜んでいることもあります。腰が痛いのでぎっくり腰かと思って来られた患者さんを診察したら、前立腺がんが発見されたというケースもあります。
一番怖いのは、患者さんが病気に気付かず、「疲れがたまっているから」「こっているだけ」と思って、民間療法や家庭療法でやり過ごしているうちに、適切な治療時期を逃してしまうことです。がんなどの大きな病気が隠れているのを知らずに、マッサージを続けてしまうというのは大変危険なことですので、気になる症状があれば早めに医師に相談しましょう。
青少年のスポーツ障害にも詳しい山村先生から「広島ドクターズ」読者へアドバイス
オーバーワークをしないことですね。つまり、練習のし過ぎは良くないということです。肩やひざなどの関節は、使えば使うほど悪くなっていくもの。関節とはいわば消耗品なんだと考えてください。また、骨や関節への負担を考えると、成長過程のお子さんが筋肉を付けすぎる必要はありません。
どのスポーツであっても、少ない練習量で適切なフォームを習得して、力を付けていくことが大切。トレーニングのし過ぎは結果的に体を壊してしまうことを理解して、無理のない練習でお子さんの活躍を応援してあげてください。
医師のプロフィール
山村 聡先生
●香川医科大学医学部卒業
●広島大学医学部整形外科学教室入局
●広島市立安佐市民病院 庄原赤十字病院 松山赤十字病院等
●広島大学の関連病院で脊椎疾患、スポーツ疾患等を学び、現在に至る。
・日本ボクシングコミッションドクター
・日本整形外科学会認定専門医
・日本整形外科学会脊椎脊髄病医
・日本運動器リハビリテーション学会
・日本小児整形外科学会
・身体障害者福祉法 指定医 など

医療法人 崇光会 山村整形外科の詳細
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