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夜中に目覚めたり、なかなか寝付けなくて、日中に注意力が散漫になったり、ふらついたりしてしまうことはありませんか? それが週に3日以上続くようなら、不眠症かもしれません。|本通くらもと心療内科|倉本 恭成先生 | 病気や症状。治療や予防に役立つ 病院・医院・クリニック情報サイト『広島ドクターズ』
(この記事は2015年12月18日時点の情報です)

倉本 恭成 先生(精神科)

日中に頭がボーっとしてしまう人は要注意。不眠症かもしれません

 
本通くらもと心療内科
【住所】広島県広島市中区本通3-10-3F  
【TEL】 082-247-7373 
夜中に目覚めたり、なかなか寝付けなくて、日中に頭がボーっとしてしまうことはありませんか? それが週に3日以上続くようなら、不眠症かもしれません。|本通くらもと心療内科|倉本 恭成先生
患者さんの気持ちに応えるために、初診でも予約なしで診察が受けられるようにしていますと倉本恭成院長
 
朝目覚めた時にすっきりした感じがない、眠りが浅くて夜中に目が覚める……もしかしたら不眠症の疑いがあるかもしれません。
今回は中区本通にある本通くらもと心療内科にお邪魔して、院長の倉本恭成先生に不眠症についてお話をうかがいました。心療内科というと深刻な心の病をイメージしがちですが、先生は「不眠症もうつ病も、放っておいても治るんよ。通院したほうが早くて楽だけど。」とおっしゃいます。ゆったりとした口調でにこやかにお話し下さる先生と向き合っていると、病気はいくつかの条件をクリアすればいずれは治るのだという安心感が伝わってきます。
不眠症をどのように改善していくのか、どのような薬を使うのかについて詳しくご説明いただきました。お薬を使う場合も、いずれはお薬なしで生活できることを目標にしているので、自己判断で増やしたり減らしてはいけないそうです。その理由とは?ご一読ください。

不眠症について教えてください。

不眠症は睡眠障害の一つです。ただ、他の睡眠障害よりも格段に患者さんが多いですね。
ある調査によると成人の3人に1人は、なかなか寝付けない「入眠障害」、夜中によく目が覚める「中途覚醒」、そして朝早く目が覚める「早朝覚醒」、ぐっすり眠った気がしない「熟睡障害」の4つのうちのいずれかの不眠があるようです。しかし、その全員が不眠症なわけではありません。不眠症と呼べるのは成人の10人に1人程度ではないかと推定されています。

いろいろなタイプがあるのですね。詳しく教えてください。

まず、不眠と不眠症の違いは分かりますか。
誰にでもあると思いますが、たまに夜眠れないというのは単なる不眠です。一方、不眠症となるとそれがおおむね週に3日以上続く場合を指します。「症」がつくのは、眠れない事で日中に頭がボーっとしてしまうとか、集中力がなくなって困っている、といった日常生活に支障を来している場合なのです。
人がすっきりとした状態で普通に暮らすためには、質の高い眠りはとても大事なことなのです。

おっしゃる通りですね。では「質の高い睡眠」はどうやって判断するのですか?

睡眠の質の高さとは、つまりは本人の起きている間の元気の度合いで測ることになります。その人が日中ボーっとしたりせず、クリアな頭の状態で過ごせる眠りかどうかが鍵です。
ですから質の高い睡眠は人によって異なります。6時間睡眠でも日中すっきりしていればそれでいいのです。10時間寝てもすっきしないようであればやはりそれは眠りの質に問題がある、ということになります。

よくわかりました。先生は眠れない患者さんへまずどのようにアプローチされますか?

患者さんの生活のパターンをまず把握することが治療の第一歩です。生活がめちゃくちゃなのに睡眠のリズムだけ整えようとしても難しいですからね。

なるほど。では不眠症の治療方法について教えてください。

すぐに睡眠薬に飛びつかないで、睡眠指導、行動療法といって生活習慣を改善する指導をまず行います。適度な運動などお勧めですね。運動をするタイミングは、寝る直前ではなく、運動後にしばらくしてから眠れるように、タイミングを計ることも大切です。
ただし、過激な運動をして、それがかえってストレスになってしまうのは本末転倒なので運動の程度にも注意が必要です。生活習慣や行動のコツは沢山あるので、専門医の指導がお勧めです。
通院治療では睡眠日誌を使って睡眠の状況をモニターし、改善方法を指導していきます。

不眠症を改善するために使う薬について教えてください。

不眠症を改善するための薬は主に睡眠薬です。日本人の大人の20人に1人は睡眠薬を使用しているようですよ。
1950年代に登場したバルビツール酸系や非バルビツール酸系の睡眠薬は非常に恐ろしい薬でした。だんだん効かなくなって、大量に飲むと死亡したり、妊娠中に服用すると胎児に悪影響が出たりしたのです。睡眠薬がクセになるとか、恐ろしいというイメージはここから来ています。
その後1960年代に登場したベンゾジアゼピン系は段違いに安全で、今も普通に使われています。さらに1980年代に登場した非ベンゾジアゼピン系は安全性が高く、これが主流です。また、2010年代にはメラトニン受容体作動系やオレキシン受容体拮抗系といって従来の睡眠薬とは効く理由が違う薬も登場して、お薬による治療の選択肢は拡がっています。また、抗不安薬や抗うつ薬のなかに睡眠導入に役立つものもあるので、それを使うこともあります。

睡眠薬はクセになる、というのは本当でしょうか?量はどんどん増えるのですか?

今心療内科で処方する薬では、薬そのものに強い依存性はありませんから安心してください。ただ、薬の飲み方に問題がある場合が多いのです。

夜中に目覚めたり、なかなか寝付けなくて、日中に頭がボーっとしてしまうことはありませんか? それが週に3日以上続くようなら、不眠症かもしれませんよ。|本通くらもと心療内科|倉本 恭成先生
本通りにあるBEAMS広島が入っているビルの3階。買い物ついでに気軽に立ち寄れる立地の良さです
 

問題がある薬の飲み方について教えてください。

3つのケースがあると思います。まず1つ目は本人が「眠れなくてつらいから」と自己判断で薬を増量してしまう場合です。それぞれのお薬には一日の使用に最大量があり、医師はその範囲で処方していますが、勝手に増量すると最大量を越えてしまい、危険だし、良くなった後で減量に苦労します。
2つ目は、本人が「薬は早くやめたい」とがんばって早期に自己判断で減量してしまう場合です。薬を使って眠れたらすぐ薬をやめ、でも眠れないとまた飲みますよね。でまたすぐに…これを短期間に繰り返すと、「わたしは薬を飲まないと眠れない」という条件付けを自分に植え付けてしまうのです。この条件付けができてしまうとやはり減量に苦労します。
もう1つは、不眠症ではなく、普通の不眠まで過度にコントロールしようとする場合です。誰でも最初は不眠症で薬を使い始めるわけですが、薬によって眠れるようになると毎日しっかり眠れることを求めてしまう人がいます。眠れない日が週に一日二日さえないように薬を使いたくなるのです。でも、それくらいの不眠はそもそも普通のことなので、完全を求めると永遠に薬は手放せなくなってしまいます。

先生は薬を処方する段階で、患者さんにはどのようにご説明されるのですか?

当院では、初期の段階から薬の使い方を説明し、最終的には薬を止めることを前提にした処方をするようにしています。ですから、当院の患者さんに限ってはそういった薬に対する誤った認識をお持ちの方は比較的少ないと思います。
ただ医者の話よりもネットの口コミなどを優先する人がいたり、周囲から睡眠薬を飲み続けるとボケるんじゃないのかと心配されたりして、医師の処方を守らないケースがときどきあるのです。
それによって、先ほど申し上げましたが、私は薬がないと眠れませんよ、という条件付けに陥るパターンがあるので注意が必要です。

原因がストレスだとして、その原因自体はどうにもならない場合はどうするのですか?

原因が何であっても、まず生活を整えることを優先します。例えばストレスの原因がマンションの上の階の住人の騒音の場合には、不安が影響していることがあるので、カウンセリングをして睡眠薬ではなく抗不安薬を処方して、不安を取り除くなどの工夫をします。
何か1つのことが気になりだすとますます気になる傾向って誰にでもありますよね。ですからカウンセリングをまずしっかりしますね。

不眠症かも知れないと思った時にしてはいけないことは何ですか?

不眠症の対策で一番してはいけないことは、ただ放置することです。なぜなら、仕事のミスや運転中の事故などの危険を放置するのと同じことだからです。また睡眠薬の副作用でふらついたり、転んだりする危険があります。「だったら使わないで放置すればいいじゃない」と思ってしまいますが、不眠を放置するほうがさらに転倒の危険性が高いという研究があります。放置したほうがもっとこけてしまう。
その次にしてはいけないのは、寝酒などしてアルコールに頼ることです。確かにアルコールを摂取すると一見寝つきが良くなるように感じますが、その状態は一晩の前半だけで、後半はアルコールが身体から抜けていく際の反動で眠りが浅くなります。また、アルコールは身体が慣れることで効果が薄れ、その結果アルコール依存症に陥る可能性が出てきます。眠れないからお酒を飲むよりは、きちんと専門医で処方された薬の方がよほど安心なのですよ。
それから、薬だけで治療しようとすると、必ず失敗しますから、きちんと生活習慣を整えることを心掛けてください。

先生が不眠症に関心をもたれたきっかけが何かあれば教えてください。

もともとは睡眠時間がもったいない、眠らずに活動ができないものかと思ったのがきっかけです。なるべく寝ないで元気に過ごす方法を考えようとしたがスタートでしたね。

そうなんですか?驚きました。それで結論は出たのですか?

結論としては、人間にとって睡眠時間は削ってはいけないものだということです。睡眠について勉強すればするほど、睡眠時間を削ることができないことがわかってしまうのです。
実はそういった研究は主には軍事目的で行われてきました。例えば船を航行するのに24時間寝ないでいられたらそれだけ前に進む事ができますし、人員も削減できますから。
最近ではアメリカのNASAの宇宙開発でも似たような目的で研究が行なわれました。2週間程度の限られた滞在時間なので、スペースシャトル内で寝ている時間がもったいないじゃないですか。寝る必要がなければそれだけ研究結果が蓄積できるとして、宇宙飛行士に対していろいろな研究をしていたことがあるんです。
結果的には最新のハイテクを駆使しても無理だったのですよ。睡眠時間を削ったことで日中の元気が失われ、ミスを連発したり、集中力が失われたりしました。そのデメリットを考えたら普通に寝てくれたほうが良いわけです。

なるほど。ところで不眠症の人に年齢的な傾向などはありますか?遺伝的な要素は?

当院では年齢的な傾向は特に感じませんね。心療内科なので、うつ病や不安症にともなっての不眠症が一番多いですが、遺伝的な要素はほとんどないと思います。

先生は地域医療についてどのようにお考えですか?今後の展望があったら教えてください。

地域医療というと、あるエリアで医療を完結しようというイメージがあると思います。当院は自宅からもっとも遠い街の中心部にあるクリニックなので、距離的には地域医療から遠いでしょうね。ただ、時間的にはとても近いと思います。心療内科はいまだにご近所の方々の目が気になるでしょうが、街中ではそんな心配はいりません。また、初診は予約制でそのかわり数週間待ちの心療内科が多い中、当院はあえて初診でも予約なしで当日診療するようにし、今診てほしい、と思われた患者さんの気持ちに応えるようにしています。
大切なのは、一人ひとりの患者さんのペースにあわせた診療だと思っています。
もちろん、初診から患者さんに時間をかけてじっくり向き合いたい気持ちはあります。しかし、せっかく困っている人が受診を思い立ったチャンスを逃すのはもったいない。物事にはタイミングも大切だと思うのです。じっくり時間をかけてしっかり話をしたいと希望される場合は、他の心療内科クリニックを紹介しています。広島の心療内科医はほぼ顔見知りで、そういった横の連携がきちんとあるので安心してくださいね。

広島ドクターズのサイトを愛読されている方に向けて、何かアドバイスをお願いします。

比較サイトなどを見ていると、どうしても「最高」の医者を探そうとしてしまいがちですが、私のお奨めは「最適」な医者です。ご自分にとって最適な医者を探すことだと思います。医者と患者の相性、問題はマッチングです。事前情報を集めることは大切だと思いますが、気軽に足を運んでマッチする医者を探したらよいと思いますよ。
当院はなんとなく不安を感じていらっしゃる方のお役に立ちたいと思っている街中のクリニックなので、ぜひ気軽にふらりと立ち寄ってもらえる、そういう存在であり続けたいと思っています。別に病気じゃなくても受診していいクリニックなんです。

医師のプロフィール

倉本 恭成 先生

●愛媛大学医学部医学科卒業
●愛媛大学医学部附属病院 (神経精神医学教室 柿本泰男教授)
●広島大学病院 (神経精神医学教室 山脇成人教授)
●国立呉病院・中国がんセンター
●広島市立 安佐市民病院 勤務
●広島厚生事業協会 広島静養院 勤務
●広島赤十字・原爆病院(非常勤)で臨床経験を積む
●現在、本通くらもと心療内科院長 
また、広島市立大学とJT(日本たばこ産業株式会社)、広島市中区の「こころの健康相談」の嘱託医

また、国立呉病院附属リハビリテーション学院や広島医療技術専門学校、広島文教女子大学で精神医学についての教鞭をとる

-資格・その他-
・医師免許
・厚生労働省の精神保健指定医
・日本精神神経学会の精神科専門医

 

 
 

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