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がん免疫療法|水入クリニック|水入寛純 先生|病気や症状。治療や予防に役立つ 病院・医院・クリニック情報サイト『広島ドクターズ』
(この記事は2016年8月5日時点の情報です)

水入寛純 先生(内科・外科)

再発予防や標準治療のプラスα効果から末期の方まで幅広くカバーする
「がん免疫療法」って?

 

水入クリニック
【住所】広島県広島市東区牛田早稲田1-23-8
【TEL】 082-962-0216


再発予防や標準治療のプラスα効果から末期の方まで幅広くカバーする 「がん免疫療法」って?|水入クリニック|水入寛純 先生
図を用いながら分かりやすくご説明くださり、質問にも丁寧に答えてくださる水入院長
 
がんと診断された際、まず選択される主な標準治療は「外科的手術」「化学療法(抗がん剤)」「放射線治療」の3つです。これらは現在科学的根拠が認められ、基本となっている治療方法です。また、これらの中でもがんの種類や進行度合いによって治療法が異なります。
しかし、インターネットでがん治療について検索すると他にも様々な治療法が出てきます。おそらく、がん治療に関する情報は他のどの病気よりも氾濫し、錯綜しているのではないでしょうか。それゆえ一般の方には正しい情報とそうでない情報の識別はつきにくく、患者さんにとってはそれこそ生死やQOLに関わる切実な問題です。
今回は、消化器外科・乳腺外科での手術や化学療法から緩和ケアまでトータルにがん医療に関わられた後に開業し、現在は免疫療法や高濃度ビタミンC療法といった自由診療での治療も行われている「水入クリニック」水入寛純院長に、がん免疫療法について、良い所も悪い所も含めて教えていただきました。

免疫療法とはどのような治療法ですか?

免疫療法は40年近く前からあり、もう治療法がないと言われた方にも手を差し伸べる事ができる治療です。がん患者さんの身体の中では既にTリンパ球やNK細胞による免疫反応が起きていますが、兵力で考えるとがん細胞の方が勝っている状態ですので、兵隊である免疫細胞の数を増やして挽回しようという治療法といえます。自分の細胞を培養で増やして戻すというのが主な仕組みになっていて、当院では「NK細胞療法」「樹状細胞ワクチン療法」「活性化Tリンパ球療法」の3つを提供しています。

どのような方が受けられていますか?

手術や化学療法で一度は落ち着いたものの、その後、肝臓や肺などに再発された方、抗がん剤の効果が今一つとか、効いているけれどプラスアルファの効果を得たいという方が多いですね。その他あらゆる化学療法を行い、もう他に治療法がない方、化学療法の重篤な副作用でもう化学療法ができない方もいらっしゃいます。あと、早期の段階で発見され、すでに治療できているが、一抹の不安があるため再発予防目的でやっておきたいという方もいらっしゃいますし、強い信念をもって免疫療法を強く希望される方もいらっしゃいます。
当院に来られる患者さんのほとんどはいわゆる「がん拠点病院」からの紹介です。他県から来られる方もいらっしゃいます。患者さんから主治医へ「関心があるので紹介状を書いてもらえませんか」という流れで来院されるのが実際ですが、僕も元々外科が専門で標準治療ありきという立ち位置です。治療を希望される方にはまず1時間の医療相談という形で話を聞いていただいていますが、たとえば「ごく早期の乳がんが見つかったんですけど手術したくないので免疫療法でできませんか?」というような方には、話を聞いて、なぜ今その手術がいいのかという理由をお話しして免疫療法をお断りしています。主治医の先生のお話を誤って理解されている方もいらっしゃるので、その辺も全部説明しています。そういう意味ではちょっとしたセカンドオピニオンもやっているような感じですね。

免疫療法を受ける事のできないケースはありますか?

病気とは直接関係ありませんが、まず1つは主治医の先生の了承が得られなかった方です。自由診療に対する考え方はそれぞれ違いますので、ご本人は関心があったけど主治医の先生がNOとおっしゃられたのでお断りした方もいらっしゃいました。
病気に関して言えば、免疫に問題がある病気の方です。HIVに感染している人は免疫力が低下していますから、血液を培養してもがんに対する効果は期待できません。あと、成人T細胞性白血病の場合です。免疫療法ではT細胞が一番大事な細胞なので、そこに問題があると培養しても効果がないだろうと思われます。また、Tリンパ球由来の悪性リンパ腫も治療効果が期待できません。それ以外であれば基本的にどのがんでも効果が期待できると考えています。

それぞれの治療法について、免疫の仕組みを含めて教えていただけますか?

ウイルス、細菌、がんなど異物として体に入ってきたり発生したものに対する体の反応には「自然免疫」と「獲得免疫」の2種類があります。
自然免疫は生まれつき持っている細胞による免疫反応で他にマクロファージなどもありますが、リンパ球の仲間であるNK細胞が代表的です。これは言ってみれば、自分の細胞以外は全部敵という判断で、初めて来た敵でも誰に教わる事なく攻撃にかかります。この性質を利用したのが「NK細胞療法」です。
一方、リンパ球の中でTリンパ球と呼んで免疫療法で主に使われているのはαβTリンパ球というものですが「活性化Tリンパ球療法」は獲得免疫を利用した治療法です。
Tリンパ球も実働部隊ですが、一度入ってきた異物(抗原)を認識して攻撃するので未知の細胞にはまったく働きません。ですから、がんの情報を誰かから教えてもらい、それを基にがん細胞を攻撃していく必要があります。そこでTリンパ球に情報を教える働きをするのが、骨髄で作られた単球という白血球細胞から分化した抗原提示細胞で、がんの情報を食べて学習する「樹状細胞」です。
Tリンパ球は、樹状細胞に教えてもらったがんの情報をもとにがん細胞を攻撃しますが、がん細胞にはいろんな形の細胞がいて、少しずつ抗原の形が変わったりします。つまり、教えられた情報の細胞しか攻撃しないTリンパ球が敵として認識しないがん細胞もあるので、悪く言えば融通がききません。その代わり、ターゲットを決めたらまとまった軍隊として攻撃するという意味ではNK細胞よりも効率よく活躍してくれる事が見込まれます。

それぞれ一長一短なわけですね。

お互いの欠点を補うために、それらを組み合わせる事もできます。
たとえば、ウイルスや細菌には目もくれずがん細胞だけ攻撃するTリンパ球が取りこぼしたものをNK細胞が処理してくれる、という事も期待できます。
また、樹状細胞自体は攻撃能力がありませんから、樹状細胞とTリンパ球の両方を増やして入れると、優秀なコーチと優秀な部下という形で相乗効果が期待できます。非常に理論的にかなっていると思うので併用された方が効果は期待できると思いますが、それを後押しする科学的根拠がないのが一つの問題ではありますね。
また、免疫療法は自費診療で非常に高額なので費用対効果の面があります。どこまでお金をかけるかというのも治療を選ぶ判断の一つになると思いますし、既に標準治療を受けている人にプラス上乗せ効果を期待する場合は、あれもこれもとたくさんお金をかけるよりもシンプルに1種類のものを続けてやっていく方法がよいと思います。たとえば活性化Tリンパ球療法は、歴史もあってポピュラーな方法です。あとは実際に投与している患者さんにどういった方が多いかをお話しして一つの判断材料にしています。
大規模臨床試験をやっている治療の場合は、がん種やステージ毎に何をするか大体筋道が決まっていますが、免疫療法の場合「この病気には樹状細胞が効きますよ」とか「これにはNK細胞が効きますよ」という筋道がまだ決まっていないので、話を聞いてもらった上で選んでいただく形になります。

自分の血液を採取して培養した細胞を体に戻す、という方法は3つとも同じですか?

そうですね。ただ、樹状細胞の場合は採血の仕方と体への戻し方が少し違います。
活性化Tリンパ球療法は25ccくらい血を抜いて、2週間かけて培養して増えたTリンパ球を点滴で戻すという事を繰り返します。NK細胞の場合は40ccくらいの血を抜いて、2週間かけて培養したものを点滴で戻すのを繰り返す、つまり1回毎に作っては戻し作っては戻しするのですが、樹状細胞の場合は1回にとれる細胞が少ないので最初に成分採血をします。透析のような機械を通して単球だけを取り出して、残りをまた返すという形で、3時間くらいかけて取り出した単球を培養して樹状細胞にします。樹状細胞の増え方には個人差があり、1回の製造で多い人なら40本くらい、少ない人でも10本くらいワクチンがとれます。出来上がったワクチンはクリニックの液体窒素タンクで凍結保管しておき、投与回数で割って、がんの病原に近い部分の皮内に注射を打ちます。元々樹状細胞は皮膚に住んでいるので、皮膚から打つとそこからリンパ管を通って目的の所に行くという流れです。

副作用はありますか?

基本的にはないと思ってください。自分の細胞を出して戻しているので、副作用はないはずなんです。あっても発熱ですが、この3年間で1人しか出ていません。しかも投与初日だけで以後は出ませんでしたから、その発熱も免疫療法が原因かは分かりません。

標準治療との併用について教えてください。

抗がん剤治療をしている時に免疫細胞を入れたら抗がん剤にやられてしまうのではないかと誤解されやすいのですが、それはありません。抗がん剤治療中は髪の毛が抜けたり、口内炎を起こしたり、爪が変形したり、シミが増えたり、下痢をしたり、骨髄の白血球、赤血球、血小板の減少などの副作用がある事で分かるように、抗がん剤は細胞分裂の盛んなところを狙っていきますが、免疫の細胞は培養してこれ以上増えない状態で投与しますので、抗がん剤の影響はまったく受けません。むしろ抗がん剤で白血球など骨髄の機能が落ちたりする時に免疫細胞を補充する事によって骨髄機能の回復に一役買っていることも期待できますし、実際、抗がん剤と併用している方は疲れにくくなったりします。また、抗がん剤治療の度に白血球が減っていた人が免疫療法を併用してから減りにくくなった事もあります。
また、放射線との併用も相性がよいと言われています。放射線でがん細胞が死ぬと、抗原情報が全部ばらまかれて血液の中に出てきます。免疫の細胞としては敵のデータが全部流出するわけですから、それを学習してそれをまた攻撃のターゲットにすればいいわけです。
それ以外にはJR広島病院の温熱療法とも連携しています。温熱療法は全てのがん種に8回まで保険がきく治療法で、がんの局所を42度くらいまで加熱するとがん細胞がオーバーヒートを起こして死んでしまうというものです。免疫は体が温まっている時が活発になるので、温める事でがん細胞の周りにいる免疫療法の製剤ががん細胞を攻撃しやすくなって相乗効果が期待できるという事です。

再発予防や標準治療のプラスα効果から末期の方まで幅広くカバーする 「がん免疫療法」って?|水入クリニック|水入寛純 先生
免疫細胞の投与などは、こちらの処置室で行われる
 

最近のがん治療では免疫チェックポイント阻害剤(オプジーボ)も注目されていますね。

免疫チェックポイント阻害剤というのは、がん細胞がTリンパ球などの免疫細胞の攻撃をやめさせる指令を出そうとするのを阻害する事によって、より効率よくリンパ球に攻撃させる薬なので、理論的には非常にいいんじゃないかなと思いますし、実際に免疫製剤と併用している医療機関もあります。ただ、今オプジーボの保険適用は悪性黒色腫と肺がんだけです。自費ですると1回80万円くらいと非常に高いですから、される方はそんなにたくさんいらっしゃらないと思います。また、副作用の面でも責任の所在という問題もありますので、当院では併用を行っていません。

先生が開業に至った経緯など、教えていただけますか?

大学6年生のころ、病院実習で胃がんの全摘手術に立ち会わせてもらった時、手術で患者さんを直接治すというダイナミックさにひかれ、がんに関わる仕事をしようと思って原医研腫瘍外科の医局に入りました。手術、抗がん剤、当時は免疫療法も大学病院でやっていましたし、今ほど分業が進んでいませんでしたから、終末期のターミナルケアも含め、一通りがんに関する診療はさせていただきました。
大学の関連病院では手術だけでなく在宅医療や生活習慣病、内視鏡検査など内科的な事も幅広くさせていただき、いずれは地域に医療を還元したいという思いもありましたので、今住んでいるこの牛田で開業しました。胃カメラや大腸カメラ、痔の診療など消化器外科でやってきた事を続けながら、ちょっとしたケガのほか、血圧や糖尿病、高脂血症なども一通り診て、なおかつがん診療に関しても、今できる範囲でできるものをさせていただいています。基幹病院との連携は大事です。がんの術後に定期的なフォローが必要な患者さんも診させてもらっていますし、また、そういった医療機関でできない事をするという事も必要です。いずれにせよ免疫療法は主治医の先生の了承をいただいてから行っていますので、連携を保ちながら患者さんのニーズを満たしていく形でやっています。

免疫療法をお考えの方へメッセージをお願いします。

一番大事なのは、ネットの情報に左右されない事です。残念な事に標準治療と違ってルールや用語が統一されていないので、どれを信じて決めたらいいか分からないと思います。実際はNK細胞療法、樹状細胞ワクチン療法、活性化Tリンパ球療法の3つだと思ってください。
また、広告の規制があってインターネットに治療成績や実績は載せられませんので、免疫療法が実際効いているのか分かりづらいと思います。そこから先の話は実際に医療相談できちんと話を聞いて、信用できる医療機関で受けた方がいいと思います。話を長く聞いてくれて、疑問に逐一答えてくれて、いい所も悪い所も全部話してくれて、標準治療をないがしろにしない所は信用していただいていいと思います。
治療を希望される方は、やりたい事や夢や目標を持っておられます。余命いくらと言われた方が元気に過ごされて目標や希望が実現したり、そういう意味では驚くような治療効果というか、予想よりもいい事は結構あるかなと思います。
免疫療法はまだ研究段階で他の治療を上回るほどの治療成績は出ていませんし、製造コストがかかるためどうしても価格が高いなど課題はまだまだあると思いますが、一昔前に比べたらずいぶん受け入れられてきたと思いますし、今後に期待したいと思います。

医師のプロフィール

水入寛純先生

●広島大学医学部卒業
●広島大学原医研腫瘍外科入局
●済生会広島病院
●東大宮総合病院(埼玉)
●北見中央病院(北海道)
●広島市立安佐市民病院
●県立瀬戸田病院(現・瀬戸田診療所)
●広島大学原医研腫瘍外科
●広島大学大学院卒業
●メディカルパーク野村病院
●水入クリニック院長

‐資格・所属学会‐
・医学博士
・日本外科学会専門医
・日本がん治療認定医機構がん治療認定医
・日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医
・日本食道学会食道科認定医
・日本消化管学会胃腸科認定医
・内痔核(ALTA)療法講習医
・日本乳癌学会認定医
・マンモグラフィー認定読影医
・JABTS主催乳房超音波講習会B判定
・日本医師会認定産業医
・日本医師会認定スポーツ医
・日本静脈経腸栄養学会認定NST医師教育セミナー修了
・広島県緩和ケア研修会修了
・点滴療法研究会高濃度ビタミンC点滴療法認定医

・日本胃癌学会会員
・日本癌治療学会会員
・日本大腸肛門病学会会員
・日本臨床外科学会会員
・日本腹部救急医学会会員
・日本超音波医学会会員
・日本消化器病学会会員
・日本静脈経腸栄養学会会員
・日本抗加齢医学会会員

 


 
 

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